外航海運船員の船乗り日記

外航船員が船上(ときどき陸上休暇)で送る波乱万丈(?)な日常生活です

現代にも海賊は存在するのか⁉️外航船を襲う海賊とその対処

皆さんは海賊という言葉を聞くとどんなものを想像しますか?

パイレーツ・オブ・カリビアン」で描かれたようなカリブの海賊、あるいは大人気漫画の「ワンピース」に登場するような海賊達でしょうか?

 

今回は、現代の海賊について説明していきたいと思います。

 

 

そもそも現代にも海賊は存在するのか

現代の海賊について説明すると言われても、「そもそも現代にも海賊が存在するのか」と疑問に感じているひともいると思います。

 

実は現代にも海賊は存在し、外航船は常に海賊の脅威にさらされています。

 

しかし、海賊が存在するといっても、おそらく多くの方が想像するような海賊のイメージとは異なります。

 

現代に存在する海賊は、銃やロケットランチャーのような武器武装しています。

彼らの目的は外航船に乗り込み、身代金を要求し莫大なお金を得ることです。

海賊

(引用:映画 キャプテン・フィリップス

海賊の多くは、貧困地域で元々漁師として働いていたが生活していくことが困難になり、やむを得ず海賊となる道を選んだ人がほとんどです。

 

数年前、そういった理由から海賊となる人達を救うために「すしざんまい」の社長がソマリアの海賊達と話し合い仕事を提供することで海賊被害を激減させたというニュースが話題になりました。

海賊の出現する海域

すしざんまい社長のエピソードにも登場しているように、かつてはソマリア沖において海賊被害が多発していました。

 

しかし、外務省の情報によると日本の自衛隊や各国の海軍などの協力により、2019年、2020年共にソマリア沖における海賊発生件数は0件で、ソマリア沖での海賊被害は減少しています。

(減少しているものの危険地帯として警戒は続けています)

 

では、現在はどこが海賊の発生する危険海域なのでしょうか?

こちらの引用文献をご覧ください。

piracy(引用:ICC INTERNATIONAL MARITIME BUREAU

これは2020年に起きた海賊被害(合計195件)の発生箇所を示したものです。

現在海賊被害が多発する危険海域としては、アフリカ(ギニア湾)、東南アジア、南米が挙げられます。

特にギニア湾は海賊被害が最も多く、最重要警戒海域といっても過言ではありません。

 

外航船の行う海賊対策

では、そういった海賊被害を防ぐために外航船はどのような対策を行っているのでしょうか?

 

自衛隊や各国の護衛艦

海賊対策の一つとしては、先ほども少し話題に挙がりましたが、自衛隊や各国の護衛艦のサポートがあります。

海上自衛隊と聞くと、日本の沿岸を警備しているというイメージが強いかもしれませんが、実際にはソマリア沖など日本から遠く離れた地域まで派遣し、外航船の警備をしてくれています。

 

これは外航船自体が対策しているというよりは、国の支援を受けているといった方が適切かもしれません。

 

海賊対策の装備、運航

外航船自身が行っている海賊対策としては、海賊の多発する危険区域では海賊対策の装備を準備すること、また船舶の運航方法を切り替えることなどが挙げられます。

 

「海賊対策の装備」と聞くと銃などの武器をイメージしてしまう方をいるかもしれませんが、そういった武器ではなくホースから放水を行うことで海賊から船を守ります。

 

海賊

(引用:映画 キャプテン・フィリップス

海賊が船の襲うときにはスピード重視の比較的小さなボートで近づき、梯子などをかけることで船内に乗り込んでこようとします。

外航船側としては「乗り込まれたら負け」で、「乗り込まれずに逃げ切る」ことができれば勝ちです 。

そのため、放水を行うことで海賊が乗り込んでくるのを防ぎます。

 

また、海賊が乗り込んでくるのを妨害するために海賊が乗り込んできそうな場所には有刺鉄線を設置しておきます。

 

 

もう一つ海賊対策として行っている「船の運航方法を変える」ということについても説明します。

 

通常、船は燃料代を節約するため、次の港まで時間的余裕がある場合には減速運転といってゆっくりとしたスピードで航行しています。

しかし、ゆっくり航行している船は海賊にとってカモであるため、海賊が現れる可能性のある危険海域(High Risk Area)では、多少燃費が悪化するのには目を瞑ってスピードを上げて航行します。

 

さらに、実際に海賊に遭遇した場合にはわざと蛇行運転をすることで大きな波を起こし、海賊が近づいて船に乗り込めないようにします。

「蛇行運転をしないで全速力で逃げた方がいいのではないか」と思う人もいるかもしれませんが、海賊の乗っている船はスピードを重視した高速ボートであるため、単純にスピードで逃げきることはできません。

 

それでも万が一、船に乗り込まれてしまった場合には決して戦おうとはせず、シタデルと呼ばれる外部からは開けることのできない避難場所に逃げて立てこもります。

シタデル内には長期間立てこもることができるように大量の食糧や水が用意されていて、外部と連絡を取るための通信設備も備え付けられています。

 

現代の海賊を描いた名作映画:キャプテン・フィリップス

この記事の中でも既に何度か引用写真を使用していますが、

現代の海賊を描いた名作映画として『キャプテン・フィリップス』という作品があります。


 

これは実際に起きた海賊事件を基に作成された伝記映画であり、現代の海賊がどういったものかを知るためには非常に良い作品だと思っています。

現代の海賊を知るため、また外航船員の暮らしがどういったものかを知るために、まだこの映画を見たことのない人には是非オススメしたい作品です!

 

 

以上が現代の海賊についての説明でした。

ここまで読んでいただきありがとうございました!