こんにちは、皆さんはタグボートと呼ばれる船を知っているでしょうか?
今回は、タグボートとは何か、その役割や特徴について解説していきたいと思います。
タグボートの役割
着岸離岸のサポート
タグボートは英語ではTugboatと表記されます。
「tug」を和訳すると「強く引っ張る」という意味であり、文字通りタグボートは他の船を引っ張る機能を持った船です。
船を引っ張るときにはタグラインと呼ばれる強靭なロープを使用します。
また、船を引っ張るだけではなく、船を押すこともあります。
船を押すときにはロープを使うことはできないため、船体同士が接触することになります。
そのため、タグボートにはタイヤなどで作られた緩衝材(フェンダー)が多数搭載されているのが特徴の一つです。
このような機能を持ったタグボートがどんなときに活躍するかというと、大型船の着岸離岸時です。
船は基本的にはプロペラを動かすことで前後に動くことしかできません。
そのため、タグボートに押してもらったり引っ張ってもらうことによって港に向かって横向きに移動し接岸離岸します。
また、大型船の前方に配備したタグボートと後方に配備したタグボートが逆向きに船を押すことによって船をその場で急旋回させることもできます。
このように小回りの利かない大型船はタグボートの力を借りて入出港作業を行っていて、一度に4隻のタグボートを使うこともあります。
進路警戒
着岸離岸のサポート以外にもタグボートには重要な役割があります。
それが大型船の進路警戒です。
港の近くでは釣り船のような小さなものから大型船まで多くの船舶が航行しています。
そのため、入出港時にはレーター等を駆使して十分に注意しながら船を運転しています。
しかし、構造物の物陰などの死角から突然船舶が現れた場合には船は急停止することができないため衝突事故を起こしてしまう危険性があります。
そこで、小回りの利くタグボートに先行してもらい、大型船の進路上に他の船が入ってくることはないか前もって死角となる部分を確認してもらっています。
タグボートのエンジン
タグボートは通常、自分よりもはるかに大きい船を押したり引っ張ったりする必要があるため、船体の大きさと比べて非常に高出力のエンジンが使用されています。
また、近年ではLNGを燃料として利用することのできるエコフレンドリーなエンジンを搭載したタグボートなども存在します。
さらに、こちらはまだ開発段階のようですがアンモニア燃料を使用しCO2の排出を完全に0にするタグボートなども計画されています。
タグボートのプロペラ
湾岸内で使用されているタグボートは縦横無尽に動くことのできる機動性を持っています。この機動性を生み出すことのできる秘密がプロペラに隠されています。
タグボートには「アジマススラスター」と呼ばれる水平方向に360°回転することのできるプロペラが搭載されています。
この形式のプロペラには株式会社IHI原動機のZ-peller(ゼットペラ)が多く使用されているため、アジマススラスターというよりもZ-pellerと呼ぶことの方が多いです。
このプロペラを使うことによってタグボートは港湾内を自由自在に動くことができる訳です。また、このプロペラはタグボートの他には、客船などにも使用されていることがあります。
タグボートの依頼費用
ここまでの説明で、タグボートは大型船にとって必要不可欠な存在であることは十分に伝わったと思います。
ところで、タグボートを派遣するのにはどれくらいの費用(曳船料)がかかるかご存知でしょうか?
もちろん各社で個別に契約をしている場合もあるので一概にタグボート費用を決めることはできないのですが、日本港湾協会が公開している情報(2021年3月現在)では東京湾の場合、
基本料金が「101,700円/時間」で、これに作業時間帯や曜日によって割増料金や燃料油価格調整金が加算されていく形になっています。
記事内でも既に述べた通り、大型船は一度に4隻のタグボートを使用することがあり、
単純計算でも一度の入港作業で200~300万円近くの曳船料がかかっていることになります。
船の世界は金額の面でも非常にスケールの大きな仕事だということが分かります。
以上がタグボートについての説明でした。
私は実際にタグボートに乗って仕事をしたことがある訳ではないので、万が一間違っている部分などがあれば指摘していただけると幸いです!
ここまで読んでいただきありがとうございました!