エンジニア(機関士)は船のお医者さんです。
お医者さんといえばイメージするのは首からぶら下げている聴診器ではないでしょうか。
実はエンジニアもお医者さんが使う聴診器のようなものを普段から使用しています!
今回はエンジニアには必要不可欠な聴診棒の役割と使い方について説明していきたいと思います!
聴診棒
さて、この写真に写っている道具は何か分かりますか?
時代劇などで出てくる十手(じって)ではありません。
はい、正解は聴診棒です。
英語だと”Listening stick”と呼びます。
役割
聴診棒の役割は機器の運転音を聴くことです!
医師が使う聴診器は人間の体内の呼吸音や心拍音などを聞くためのものなので、
聴診棒は聴診器の機械ver.という理解で問題ありません。
船内(特にEngine Room=機関室)は巨大なメインエンジン、発電機、ボイラーなど、大小様々な機械が運転しているため騒音がひどいです。
そのため、仮に機械が異音を発していたとしても気づかない可能性があります。
しかし、聴診棒を使うと機械の動作音がダイレクトで自分に伝わってくるので
機関室内でも機器の運転状態を正確に把握することができます。
使い方
聴診棒の使い方は簡単で、
聴きたい部分に聴診棒の先端をタッチさせた状態で
反対側の丸い部分を自分のこめかみの当たりに押し付けます。
(十手のような形で分岐している場合には、短い柄の部分を自分の利き手で持って
丸い部分をこめかみに当てるとそれっぽいです)
ネットで調べると丸い部分は耳の中に押し込むというような記述をしている場合もありますが、それは間違いです!
(そういう人は「あまりよく聴こえない」などとレビューしているケースも多いです)
聴診棒は骨伝導を利用して音を拾っているので、耳の中ではなくこめかみのような骨の部分にタッチさせる必要があるからです。
そもそもエンジニアは仕事中常に耳栓をしているので、耳栓をしている耳に聴診棒を突っ込むのはナンセンスであることも理解できると思います。
これについては、最近は骨伝導のイヤホンなども一般的に普及してきているのである程度イメージしやすいかもしれません。
よく使う場面
- 主機(メインエンジン、メインタービン)の動作音確認
- モーターの動作音確認
- 機器始動時(Purifier等)の運転状態確認
- パイプ内の流体の流れ確認
- 狭い隙間にものを落としたとき
- 写真撮影で仕事してる感を出したいとき
以上が聴診棒の役割と使い方についての説明でした!
聴診棒を使う上で一番大切なのは「正常な状態の運転音を把握すること」です!
普段の状態、正常な状態の運転音がどのような音であるかを理解していないと
実際聴診棒で音を聴いてもそれがnormalなのかabnormalなのかを判断することができません。
異常時だけではなく、普段から毎日機器がどのような音を発しているかを気に掛けるようにしましょう!
ここまで読んでいただきありがとうございました!