最近は陸上の仕事でも女性の社会進出について話題に挙がることが多いですが、
外航船員について女性の活躍はどうなっているのでしょうか?
今回は、女性外航船員について説明していきたいと思います。
女性外航船員の割合
おそらく皆さんが想像している通り、「船乗り」という仕事は陸上の多くの仕事と比較して体力的に厳しいものであり、船という特殊な閉鎖空間で長い間働く過酷なものになります。
そのため、従来船乗りという仕事は男社会でした。
しかし、近年では女性外航船員も少しずつ登場し、船の上で活躍しています。
では、実際女性外航船員が全体を占める割合はどれくらいなのでしょうか?
国土交通省が発表している情報によると、平成28年度の時点で
「海運業における女性船員の比率は2.4%(海運業全体。外航旅客船は27.9%、外航貨物船は1.8%)」 となっています。
このデータを見る限り、外航旅客船においては女性の割合がだいぶ高まっていますが、外航貨物船においてはまだまだ男社会というのが現実かもしれません。
もちろん、国もこの状態を良くは思っていません。
国土交通省としては女性船員をもっと増やしたいという思いがあり、
「輝け!フネージョプロジェクト」というものを行っているようです。
(すいません、私はこのブログを執筆するために情報収集をするまでまったくこの活動のことをまったく知りませんでした…。)
しかし別の記事でも紹介した通り、女性外航船員に限らず日本人外航船員を増やすために国土交通省は様々な活動をしているようですが、現状日本人外航船員数はどうにか横ばいを維持しているような状態です。
女性の力(筋力)でも船乗りの仕事は問題ないのか
国として社会として、外航船員の世界へ女性が進出していくのをサポートしているのは上でも述べた通りです。
しかし、どれだけ男女平等という話をしたとしても男女で筋力に大きな差があるというのは紛れもない事実です。
そして船乗りの仕事、現場仕事というものは一般的な陸上でのデスクワークと比べた場合、明らかに力の必要な仕事となります。
では、実際に外航船で働いている船乗りから見て、女性でも問題なく外航船で働くことは可能なのでしょうか?
あくまでも私個人の持論にはなってしまいますが、外航船で働く上で男女の筋力差などまったく問題にならないと考えています。
というのも、そもそも外航船で取り扱う機械の部品は重すぎて男性でも一人では持つことができないからです。
(大きなものだとポンプのモーター一つで1トン近くあります)
そのため、通常は「チェーンブロック」と呼ばれる手動の吊り上げ装置や電動の「クレーン」などを用いて整備作業、搬送作業を行います。
20kg,30kg程度で頑張れば自分一人の力でも運ぶことのできる部品も当然存在します。
しかし、安全の観点から考えてそういった場合でもチェーンブロックや台車等を用いて作業を行ったり、複数人で運ぼうとする人の方が力で全て解決してしまう人よりも安心して仕事を任せることができます。
外航船における女性のプライバシー
体力面で問題がないことは分かっても、もう一つ不安に思う点が船内でのプライバシーについての問題だと思います。
この点についても大きな問題はありません。
近年はセクハラ等に関する理解や教育も浸透してきているため、船上でセクハラ被害に遭うことは少なくなっています。
また、外航船においては日本人船員の居室は全て個室であり、シャワールームやトイレも個室に備え付けられています。
その他、共同トイレも女性用トイレが設置してあるなど、個人としてのプライベート空間はしっかりと保たれています。
今後の外航船員についての展望
上でも述べた通り、筋力的な差が外航船員としての業務に支障をきたすことはありませんし、女性でも外航船員として十分に活躍することができます!
では、外航船員という仕事は全ての女性に手放しで推薦することのできる仕事かと言われると、私はそうは思いません。
「女性」「男性」という区分に関わらず、外航船員は非常に特殊な仕事であるがゆえに人それぞれで向き不向きが大きく分かれる職業だからです。
ここまで、「女性の場合どうなのか」という話を続けてきましたが、
結局は性別の問題ではなく、船乗りとしての適正を持つかという個人個人の違いが外航船員としての重要な要素となります。
また、現在は「半年近く乗船し、2~3ヶ月の長期休暇を取得する」というスパンを短くすることで外航船員という特殊な仕事を、より「普通」な仕事へとシフトしていこうといった流れがあります。
こういった仕事の変化を進めることで、より多くの人にとって外航船員という仕事を受け入れやすいものにしていこうとしているのだと思います。
以上が女性外航船員についての説明でした。
ここまで読んでいただきありがとうございました!