こんにちは、今回はおそらく普通の人はまったく知らないであろう、船乗りの秘密基地「シーメンズクラブ」について説明していきたいと思います。
シーメンズクラブとは何か
Seamen's club(シーメンズクラブ)とはその名の通り、船乗りのために作られた憩いの場のことです。
通常、シーメンズクラブは大きな港の近くにあり、各種通貨の両替、簡単な食事、現地simカードの購入、Free Wifiの提供、お土産の購入、ギターなどの楽器類、ビリヤード、…など様々なサービスを受けることができます。
外航船員は世界中の港を旅します。
しかし、当然世界中の通貨を全て持っている訳はありません。
そのため、海外の港で上陸した場合には外貨の両替を行う必要があります。
つまり、外地に上陸した際には、まず最初にシーメンズクラブに行くことが外航船員として鉄板の行動でした。
(現在は街中にも両替所が多数あり、クレジットカードなども普及しているため、必ずしもシーメンズクラブに寄る必要はありません)
また、基本的に外航船員の上陸時間というのは数時間しかないため、港から主要な街までが遠い場合にはなかなか上陸を楽しむ余裕がありません。
そんな場合には港から近くのシーメンズクラブに立ち寄ることで時間的に余裕を持ち、上陸で気持ちのリフレッシュすることもできます。
海外のシーメンズクラブ
日本国内にもいくつかシーメンズクラブは存在する(横浜にあるUSSシーメンスなど)ようですが、私は外航船員として働いているためあまり日本国内の港には詳しくありません。
そこで、海外にあるシーメンズクラブを取り上げ、シーメンズクラブがどういったものなのかを具体的に説明していきたいと思います。
Seamen's club in Southampton
イギリスのSouthampton(サウサンプトン、サザンプトン)にあるSeamen's clubです。
サウサンプトンはタイタニック号が出航した港町として有名で、現在もイギリスの主要な港として活躍しています。
実際のSeamen's clubの中はこのような風になっています。
とても綺麗な内装です!
冒頭でも説明した通り、ここでは、Wifiや両替など様々なサービスが利用できます。
次の目的地に向けて急いでいたのであまり他の写真を撮っていなかったんですが、このサウサンプトンにあるSeamen's clubの面白い所は写真の奥の方にある白い壁です。
近づくと次のように沢山の船員のサインが残されています。
自分たちだけではなく、沢山の船員が船に乗って働いているんだなぁと心地良い仲間意識のようなものが芽生えます笑
また、サウサンプトンにある港町を歩くと先ほどのシーメンズクラブとは別に次のような看板を発見することもできました。
CREW SERVICE, CREW CENTREと記載されています!
こちらのCREW CENTREには訪れなかったので詳細は分かりませんが、慣れない街中でもSeamen's clubを簡単に見つけることができ、船員への配慮が行き届いていると感じました。
流石タイタニックの出航した港町ですね。
Seamen's club in Le Havre
続いて、フランスのルアーブルにあるSeamen's clubです。
ルアーブルはフランスらしい芸術的なセンスが感じられる港町です。
ルアーブルのSeamen's clubの内装はこのような感じです。
サウサンプトンのものとは違ってシックで落ち着いた雰囲気になっています。
こちらの写真はサウサンプトンのものよりも全体を写すことができているので、シーメンズクラブがどういったものなのか伝わりやすいかもしれません。
カウンターいるスタッフに話しかけることで通貨の両替やお土産の購入ができ、ギターなどは置いてあるものを自由に演奏することができます。
現在は現地simやWifiの登場により、海外でも携帯の電波に困ることは少なくなりましたが、以前はシーメンズクラブのインターネット回線や国際電話が家族と連絡を取るための重要な手段でした。
また、説明するのを忘れていましたが、シーメンズクラブは大抵シャトルバスを運行していて、電話で予約することで船から最寄りの港町まで無料で送り届けてくれます。
こういったサービスのおかげで、わずか数時間の上陸でも全力で楽しむことができます。
シーメンズクラブは船乗りしか利用できないのか
ここまででシーメンズクラブが船乗りのために作られた憩いの場であることは伝わったと思いますが、船員ではない一般の人がシーメンズクラブを利用することはできるのでしょうか?
結論から申し上げますと、基本的に一般人でも誰でもシーメンズクラブは利用することができます。
各種サービスは普段から陸上で暮らしている人にとってはあまり必要のないものかもしれませんが、単純にシーメンズクラブの雰囲気を味わいに行くだけでも楽しいかもしれません。
しかし、海外のシーメンズクラブの中には電話予約をしているときにしか店を開けないというパターンもあるので、飛び込みで訪れても開いていないことがあるかもしれません。(海外らしいですね)
シーメンズクラブの運営に関して詳しいことまでは把握していませんが、海外のシーメンズクラブの多くは非営利の団体やボランティアによって運営されている印象です。
シーメンズクラブが存在するおかげで、世界中の船員が初めて訪れた港でも有意義な時間を過ごすことができています。
そのことに感謝しつつ、これからも船乗りを続けていきたいと思います。
以上がシーメンズクラブについての説明でした!
現在はコロナウイルスの影響で、海外の港、また日本国内の港でも上陸をすることはできません。
そのため、今回のブログで載せたような経験はすることができない状態です。
少しでも早くコロナが静まり、普通の暮らしに戻ることを期待しています。
ここまで読んでいただきありがとうございました!