笑顔の印象を左右するため芸能人は歯をホワイトニングして大切にしている、
スポーツ選手も歯を食いしばって力を出すために歯を大切にしている、
といった話を聞いたことがあります。
理由は違いますが外航船員にとっても歯の健康は非常に大切なものです。
今回は、外航船員と歯の健康について説明していきたいと思います。
船乗りと虫歯
外航船員は休暇中には必ず歯医者に行き検診を行うという人が多いです。
それは、一度船に乗るとなかなか病院に行くことはできないからです。
基本的に虫歯などの歯の病気は早めに病院で治療を受ければ、すぐに治るものが多いです。
しかし、外航船に乗っている場合には歯が痛くなったからすぐに病院で診察を受けるということは困難であり、場合によっては重症化してしまうリスクがあります。
そのため、休暇中に検診を行い、しっかり万全の状態であることを確認してから船に乗るようにしています。
船上の医療体制
休暇中に歯医者を受診していても運悪く乗船中に症状が悪化してしまうケースももちろんあります。
そういった場合は船内で応急処置を行う必要があります。
虫歯などの歯の病気に限らず、船内で怪我をしたときなど、治療が必要となったときにはどのような医療体制となっているのかを紹介します。
病室での応急手当
以前別の記事でも紹介しましたが、外航船内にはHospital(病室)が備え付けられていて、簡単な薬などは備蓄してあります。
これらの薬を使用することで痛みを緩和させることができます。
歯が割れた、虫歯の被せものが外れたというようなケースでは、専用の接着剤のようなものを用いて応急手当を行うこともあります。
医療無線を利用して医師の助言を受ける
薬を服用しても効果がない場合など、船内で対処することが難しい場合には医療無線を利用して現在の症状や様子、写真など送ることで陸にいる医師から適切な助言を受けることもできます。
外航船に積まれている薬のリストは陸側の医師にも伝わっているため、その中から傷病に適した薬を医師が選び、船内でできる処置を提案してくれます。
緊急搬送
船内の医療設備では傷病の回復が困難となった場合には陸側の病院へ患者を搬送する必要があります。
運良く入港していれば上陸して病院を手配してもらうこともできますが、陸から遠く離れている場合にはドクターヘリなどを要請して緊急搬送してもらうこともあります。
一度上陸して病院を受診すると、医師の診断を受けて”FIT FOR DUTY(船内就業可能)”という診断書を作成してもらわないと船に戻ることができません。
また、緊急の場合には交替の船員を確保することも難しいため、最悪の場合には欠員状態で船を運行する必要もあります。
虫歯と船員保険
船乗りは船員保険というものに加入していて、基本的に乗船中に発生した傷病の治療は保険負担で受診することができます。
しかし、虫歯の場合は船員保険の対象外となることがあります。
上のフローチャートで説明されているように、乗船中に虫歯や歯周病にかかってしまい治療を受けたとしても、1年以上船に乗っている長期乗船者でない限りは船員保険の対象外となってしまいます。
つまり、金銭的な面で考えても船員は歯を大切にする必要があるということになります。
以上が外航船員と歯の健康についての説明でした。
船乗りにとって日々の食事はとても大切な娯楽(?)であり、
食事を楽しむためにも歯の健康に気を遣う必要があります。
皆さんも歯の健康に気を付けて定期的に検診を受診することをオススメします!
ここまで読んでいただきありがとうございました!