「外航船員ってずっと船の上で働いているの?」と質問されることがよくあります。
今回は、外航船員はどのような形で働いているのか、その実態について説明していきたいと思います。
外航船員の勤務体系
別の記事で外航船員のについて少し触れたときにも話しましたが、外航船員というのは基本的に半年程度船に乗って、その後2~3ヶ月の長期休暇を取得するという形で仕事をしています。
最近は、この半年間船の上で仕事をしてその後に長期休暇というサイクルを短くしようという話も出ているようで、一度の乗船を3~4か月にしようとしているという噂もあります。
昔の人に話を聞くと、「一度の乗船が11ヶ月だった!」という話を聞くこともあり、時代の流れに沿って船乗りの働き方も少しずつ変化しているのかなと感じています。
さて、ここで本題に戻りますが、「外航船員は定年までの間ずっと船の上で働いているのか?」という疑問に答えていきたいと思います。
もちろん、外航船員と一括りにして説明してしまっていますが、実際には会社ごとで違いがあると思いますので、あくまでも一つの一例として理解していただけると幸いです。
外航船員と聞くと船でずっと働いているというイメージを持つ方も多いかと思いますが、実際は陸上勤務をする機会も多いため、船の上でずっと働くということはありません。
陸勤(陸上勤務)とは
陸勤とは、その名の通り陸上の会社で勤務することを指します。
外航船員として働き始めてしばらく経ち、昔からの友達と話していたときに「陸勤」というワードを使ってしまい、なんだそれという反応をされたことを覚えています笑
海運業界では、船で働いている人や会社で働いている人が混在しているため、「海上勤務」や「陸勤」などというワードを使うことがよくあります。
船員が陸勤の際にどのような部署に配属されるかは様々なものがあるため、一概に「これだ」と決めつけることはできません。
しかし、どの部署に配属されたとしても、船上で得た知識・経験を陸上での業務に活かすことが期待されています。
元から陸勤(総合職)として採用され働いている人にとっては船の知識・経験を交換することのできる良い機会であり、逆に船乗りにとっては陸上でどのような勤務が行われて会社が回っているのか、会社組織や業務の全体像を把握することのできる良い機会となります。
海上勤務と陸勤のバランス
このように外航船員は船上での勤務または陸勤のどちらかを行いながら働いています。
ここで気になるのが、「海上勤務と陸勤はどれくらいのバランスで行われているのか」ということだと思います。
基本的に、入社したばかりでまだ三等機関士、三等航海士として働いている間は海上勤務がメインとなります。
なぜなら、先ほども説明した通り、船乗りが陸上で働くということは船上で得た知識・経験を陸上での業務に活かすことが求められており、まだ船員としての知識や経験が浅い三等機関士、三等航海士が陸勤をすることにあまりメリットがないからです。
しかし、最近では「若いうちから陸上勤務を経験させることで会社全体の仕事を理解させる」ことを目的として三等機関士や三等航海士という立場で陸勤を行うこともあります。
そのため、まだ若手だから陸勤は絶対にないという訳ではありません。
そして海上勤務を重ね、二等機関士、一等機関士と成長するにつれて陸勤をする機会が増えていきます。
最終的に陸勤と海上勤務の割合がどれくらいになるかというのは、個人個人で大きく異なるため一概に述べることはできません。
しかし、私が話を聞いたことのある人の中で、短い人だと会社に入社してから定年退職までの約30年間で船乗りとして働いていたのは7,8年だったという話も聞いたことがあります。
(これは陸上休暇の期間も含めたものなので、実際に船に乗っている期間として考えたらもっと短いです)
このように、外航船員というのはずっと船の上で働く訳ではなく、意外と陸上での勤務も多い仕事です。
私自身、就活で外航船員のことを知ったときに、「入社してから定年までずっと船の上で働くのはつらいな」と思っていたのですが、実際はずっと船に乗るわけではないという事実を知り、この世界に飛び込みました。
以上が外航船員の陸勤や海上勤務についての説明でした。
ここまで読んでいただきありがとうございました!