外航海運船員の船乗り日記

外航船員が船上(ときどき陸上休暇)で送る波乱万丈(?)な日常生活です

無人運転⁉全自動化の進むコンテナターミナルの実態とは

最近は一般の自動車でも全自動運転という話題が少しずつ登場していますが、

皆さんはコンテナターミナルが全自動運転化していることをご存知でしょうか?

 

今回はコンテナターミナルの全自動化について説明していきたいと思います。

 

 

コンテナの運搬方法

以前、別の記事でコンテナの積み下ろしにはガントリークレーンと呼ばれるクレーンが使われているということを説明しました。

 

ガントリークレーンでコンテナ船から持ち上げられたコンテナは海上コンテナ運搬専用トレーラー(シャーシ)に積み込まれます。

 

コンテナ運搬車両(シャーシ)

通常のコンテナ運搬車両

シャーシ

通常のコンテナ運搬車両は上の写真のような形をしていて、シャーシを前方のトラクターヘッドで牽引することでコンテナを運搬しています。

 

無人コンテナ運搬車両

一方で、次の写真をご覧ください

これはオランダのロッテルダムにあるコンテナターミナルの写真です。

無人 シャーシ

 

先程の写真で示したコンテナ運搬車両との違いが分かるでしょうか?

 

ロッテルダムにあるコンテナ運搬車両はシャーシ部分のみで前方に牽引するためのトラクターヘッドがついていません

そのため、この運搬車両には当然運転手も乗っていません。

 

この無人車両は全自動でコンテナターミナル構内を移動しているのです。

 

スタッキングクレーン

シャーシに積み込まれたコンテナはそのまま構外に運ばれるか、もしくは一旦コンテナヤードに積み上げられて保管されます。

 

コンテナヤードに積み重ねられているコンテナは後ほど、目的地までコンテナを運ぶトレーラートラックに積み込まれる、もしくは別のコンテナ船に積み替えるなどされます。

 

ここでコンテナヤードにコンテナを積み重ねるときに活躍するのがスタッキングクレーンです。

スタッキングクレーン

 

スタッキングクレーンは写真の中央に存在する緑色の門型のクレーンです。

このクレーンはガントリークレーンと同様に車輪を持っていて、平行移動をすることができます。

 

このスタッキングクレーンにも有人のものと無人のものが存在し、

ロッテルダムなどの一部のターミナルでは無人で自動運転されています。

 

コンテナ運搬の全自動化

ここまでで説明したように、一部のターミナルではガントリークレーンが無人のコンテナ運搬車にコンテナを降ろし、自動運転で決められたコンテナヤードまでコンテナを運び、無人のスタッキングクレーンが自動でコンテナを積み上げるという全自動運転が実現しています。

 

現在ガントリークレーンの完全自動化は実現していませんが、遠隔操作を行っているターミナルはあります。

そのため、コンテナターミナル構内から作業員が完全にいなくなるという未来も存在するかもしれません。

 

コンテナ荷役プランナー

コンテナターミナル内の仕事が全自動化に成功している一つの理由にはコンテナ荷役プランナーの存在があります。

 

コンテナターミナル内のコンテナの移動は、全て荷役プランナーがコンピュータを駆使して最適な動きとなるように決めています。

そのため荷役が始まる前には、「コンテナ船の何列何番目から吊り上げたコンテナをどのシャーシに載せて、どこのコンテナヤードまで運び積み上げる」といったことが全て決められています。

 

このように荷役プランナーが構内の作業をプログラム化しているため、全自動化にも成功しているという訳です。

 

 

 


以上がコンテナターミナルの自動化についての説明でした。

 

コンテナターミナルで自動運転されている無人車両を初めて見たときはとても驚きました。

近い将来、街中でもこのような無人自動運転車両を見かけるようになるのかもしれません。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました!