どんな仕事にも業界用語と呼ばれるような聞き馴染みのない専門用語が存在すると思います。
船の世界にも様々な専門用語が存在します。
今回はその中の一部としてボイラーのABCについて説明したいと思います。
ボイラーとは
役割
船内のボイラーとは、水を加熱して蒸気を造り出す装置のことを指します。
一般家庭では蒸気をつくることはありませんが、お風呂や洗面所で使うお湯をつくるためにボイラーが利用されていると思います。
ボイラーでつくられた蒸気は船内各所の加熱などに使用されています。
ボイラーの仕組み
ボイラーは簡単に説明するとヤカンを加熱して蒸気を発生させているような状態です。
ボイラー内の水はどんどん蒸発していくため、そのまま放置していると当然ボイラーの水位は徐々に下がっていきます。
最終的にボイラーの中の水がなくなり、空焚き状態になるとボイラーは壊れてしまいます。
これを防ぐためには、ボイラーの水位が減ってきたら追加で水を供給すること、つまりボイラーの水位を一定に制御する必要があります。
人間がずっとボイラーを監視して適宜水を供給することも可能ですが、24時間体制でずっとボイラーを見張る必要があり、現実的ではありません。
そこで使用するのがボイラーのABCです。
ボイラーのABC
ABCとはもちろんアルファベットのA,B,Cのことではありません。
ここでいうABCとはAutomatic Boiler Controlのことで、ボイラーの自動制御のことを指します。
ボイラーを適切に運用するためには先程説明した水位制御、圧力制御、バーナー制御、…などの様々な項目について制御する必要があり、それらの制御をまとめてABCと呼んでいます。
ボイラーのACC
また、ボイラーにはACCという用語もあります。
これはAutomatic Combustion Controlの略です。
バーナーの燃焼状態を適正にするために行う空燃比や燃料圧力などの制御のことを意味します。
ボイラーの自動制御(ABC)の一つとしてバーナー制御(ACC)があるということです。(ちょっとややこしいですね)
バーナーの空燃比などが適正値から外れると黒煙が発生してしまいます。
入港中に黒煙が発生してしまうと、陸側の施設などに灰が落ちてしまいクレームを受けてしまう可能性があります。
そのため、入港中には黒煙を発生させないように一段と気を遣う必要があります。
その他の専門用語
ここまででボイラーのABC,ACCといった用語を紹介してきましたが、
似たような言葉でACBという言葉も存在します。
これはAir Circuit Breaker(気中遮断器)のことで、配電盤についているブレーカーのことを指します。
一般家庭で使われているブレーカーと役割は基本的には同じですが、ACBはブレーカーのON・OFFに対する耐久性が高く、メンテナンス性が高いという特徴があります。
また、ACBは遠隔で接点をOPEN/CLOSEすることができます。
以上が船で使用する専門用語についての説明でした。
ボイラーのABC、ACC、さらにACBなど似たような言葉がたくさん存在するので初めて聞くとこんがらがってしまうこともあると思います。
実際話の中で使用するときには「ボイラーの自動制御」のように日本語で説明したり、前後の文脈が存在するのでそこまで迷うことはありません。
ここまで読んでいただきありがとうございました!