外航船に乗っていると360°見渡す限り水平線というのは普通の状態です。
近くの陸地からは何十km、何百kmも離れています。
そんなときでも鳥が船にやってくるときがあります。
渡り鳥は一体どれくらいの距離を飛ぶことができるのでしょうか?
今回は、渡り鳥の生態について調べてみました。
渡り鳥とは
移動する理由
そもそも渡り鳥は何故長い距離を移動して生活する地域を変更しているかご存知ですか?
渡り鳥は基本的に餌となる食糧を確保するため、気温等の環境変化に対応するため、繁殖に適した環境に移動するためといった理由から季節に合わせて住む場所を変更しています。
頭の中にナビがある?
広大な海を移動する場合には当然目印となるような建物はありません。
そのような状況下でも渡り鳥は目的地まで移動することができるのは何故でしょうか?
実は、渡り鳥は太陽や星などの天体の位置関係からある程度の方位を知ることができると考えられています。
そのため、大まかに南の方角などを認識しながら飛行することができます。
また、渡り鳥は磁場を感じ取ることができるとも言われています。
つまり、磁場の強弱を利用してまるで人工衛星を利用したナビゲーションアプリのように自分の現在地を把握することができるという訳です。
これらの特殊能力を駆使して渡り鳥は目的地までの飛行を行っています。
飛行距離
船に乗っていると陸から遠く離れた大洋でも鳥を見かけることがあるという話をしました。
では、渡り鳥は最長でどれくらいの距離を飛ぶことができるのでしょうか?
一度に飛行することのできる距離
オオソリハシシギと呼ばれる鳥は、一度も途中休憩を挟まずに13,000km飛ぶことができるということが知られています。
地球一周が約4万kmなので、一度に地球の1/4近くを飛行することができるという訳です。
渡り鳥にとっては、陸から数百km離れているなど大した話ではないのかもしれません。
一年間で移動する距離
キョクアジサシという渡り鳥は季節の移り変わりに合わせて南極から北極へと長距離を移動することで知られています。
キョクアジサシは一年間でなんと9万km近くも飛行することが研究で証明されています。
つまり、毎年地球2周分もの距離を移動しているということになります。
渡り鳥は海でどうやって休むのか
上で説明したように、渡り鳥の中には途中休憩を挟まずに一度に長距離を飛行することができるものも存在しますが、基本的には休みながら飛んでいます。
では、大洋を飛んでいる渡り鳥はどのようにして休憩をしているのでしょうか。
飛びながら寝る
実は渡り鳥は飛びながら寝ることができます。
昔は半球睡眠といって、脳の半分を休ませながら飛行をし、交互に休みを取りながら空を飛んでいると考えられていました。
しかし、ドイツの学者が鳥の脳波を研究した結果、渡り鳥は短い時間だけ熟睡し、すぐにまた起きるということを繰り返しながら飛行をしているということが分かりました。
脳が寝ている間もまるで呼吸をするように、無意識で空を飛び続けることができます。
海に浮かぶ
カモメなどの水鳥と呼ばれる鳥は水に浮かぶことができます。
そのため、波が穏やかな場合には海に浮かんで休憩することができます。
先程9万mを飛行する渡り鳥として紹介したキョクアジサシはカモメ科の渡り鳥なので、海に浮かんで休憩することができます。
船で休む
さらに、休みながら移動することができる休憩方法があります。
それが船です。
鳥が船の進行方向まで考えて船で休んでいるのかは分かりませんが、世界中を走っている外航船は鳥にとって良い休憩スポットであることは間違いありません。
以上が渡り鳥の生態についての紹介でした。
外航船に乗っていると基本的に同じ船の乗組員以外の生き物に出会うことがないので、鳥を見かけると和やかな気持ちになります。
ここまで読んでいただきありがとうございました!