外航船の中には全長400m、横幅60m近くの巨大な船も存在します。
突然400mと言われてもピンとこないかもしれませんが、
東京タワー(全長333m)を横に倒したよりも大きいと言われればそのスケール感が伝わるかもしれません。
今回は、そのような巨大の船の中でどのような人がどれくらいの人数で働いているのかを説明していきたいと思います。
巨大商船の中で働く人の数
全長400m、幅60mという巨大な船(外周を一周するだけで約1km!)にはどれくらいの人数の人が乗っていると思いますか?
実はそんな巨大な船でも中に乗っている人の数は20~30人程しかいません。
(これは貨物船の場合で、客船の場合は乗組員とお客さんを合わせたら数百人、数千人という規模になります!)
あれだけ大きな船をこれだけの少人数で動かしているということは知らない人も多いかもしれません。
では、30人程の乗組員はそれぞれ船の中でどのような仕事をしているのでしょうか。
船の中での役割
船の中で働く人は大きく分けて次の3つのグループに分けることができます。
機関部(Engine) 、甲板部(Deck)、司厨部(Catering)
それぞれに役割について簡単に説明したいと思います。
機関部(Engine)
名前の通り、船内の機関、全ての機械のメンテナンスを行うことが仕事です。
機関部で働く人は機関士(Engineer)と機関部員に分けることができます。
機関士には海技士(機関)という国家資格を所有している人しかなることができず、現在外航船の機関部で働いている日本人は機関士しかいません。
(昔は外航海運の機関部員にも日本人が存在しましたが、現在は主に外国人が機関部員として働いています)
私も外航船の機関士として働いているため、このグループに属していることになります。
基本的に船の中にあるもの全てを取り扱う必要があるため、船のメインエンジンのようなものからエレベーター、空調、船内の電気系統など、ありとあらゆる物を整備する技術が必要となります。
甲板部(Deck)
船の運航や貨物の取り扱いをするのが主な仕事です。
機関部の場合と同様に、航海士と甲板部員に分けることができ、甲板部員は基本的に外国人で構成されています。
航海士という言葉を聞くと、海図や天気図を駆使して船を安全に操縦しているというイメージが強いかもしれません。
しかし、実は船の運航(操縦)以外の部分で、入出港の際に必要となる書類の作成や陸側とのやり取りなど書類作業も多いです。
司厨部(Catering)
司厨部の主な仕事は船員への食事の提供および食材の管理です。
娯楽の少ない船上では食事というものはストレス解消の意味でもとても重要な要素を持ちます!
現在、司厨部も基本的に外国人船員で構成されています。
つまり毎日の食事を作ってくれているのは外国人のコックということです。
船内の食事でどういったものが出てくるのかということは、また別の機会で説明したいと思います。
船の中で働く外国人
ここまでの説明でも何度か登場しているように、船内では外国人と一緒に仕事をし、生活を共にしています。
少し古いデータになってしまいますが、日本船主協会によると、
外航船で働く人のうちのほとんどが外国人だということが分かります。
この画像では外航日本人船員は5000人程だと記載されていますが、
別の記事でも説明した通り現在の日本人船員数はさらに減少しているためご注意ください。
つまり、外航船員として働くには外国人としっかりコミュケーションを取ることができなくてはなりません!
もちろん、外国人とコミュケーションを取るときには英語を使用して会話することになります。
この英語の勉強方法、上達方法についてもどこかで話す機会を作りたいとは思っています。
ここまでが、巨大な外航船の中でどんな人がどれくらいの人数で働いているのかの説明でした。
あくまでも貨物船での話であり、客船などの場合にはまた違う内容になってしまうと思いますので、その点だけはご注意ください!